Published 2月 17, 2018 by

伊藤若冲と仙臺との繋がり(5/5)

こんにちは、染井吉野です。

ー仙台にある売茶翁(ばいさおう)ー
そして最後に仙台の茶菓子屋の「売茶翁」。京都の売茶翁または月海と直接関わりがあるのでは?と想像しました。

結論から先に言ってしまうと、残念ながら直接の関係性はありませんでした。
茶菓子屋の売茶翁は明治創業で、老舗ではありますが残念ながら若冲が生きた年代とは異なります。当時の屋号は「甘泉堂」と言っていたそうです。

創業者は京都の売茶翁に感銘を受け、お店でも売茶翁のように茶をもてなしたとも伝えられています。戦前のお店は仙台市中心部の一番町(一番町東北電力ビル裏あたり)に構えていたそうです。このあたりには今も戦前から同じ場所に梅原楽器店(和楽器)があり、甘泉堂はその近所にあったそうです。この一帯は戦時中空襲で焼け出されたため現在の仙台市青葉区春日町に移動しました。「売茶翁」の屋号を使い始めたのは1947年(昭和22年)の戦後のことです。
売茶翁が若冲の名前のきっかけになったことは知っていたのでしょうか?
若冲ブームをきっかけにお店の「売茶翁」も話題になることはきっと想像していなかったと思います。意外な偶然が面白いですね。

さて仙台の売茶翁は、有名な茶菓子(和菓子)屋さんです。その佇まいは一軒の古民家。表向きにはそこがお店だとは気が付きません。売茶翁の看板も控えめです。
買い求める人はお茶の先生方や常連の方々ばかり。その上、会社の役員とおぼしき方々がクルマから降りてわざわざ立ち寄ります。贈答用の菓子折りとして重宝しているようです。
人気の和菓子は午前中には売れ切れとなるほど。私も買い求めて食してみました。屋号に引けを取らないその美味しさはいかばかりでしょう。気になる方は是非お店から購入してみてください。電話番号はありませんので直接お店に行くしか方法はありません。
店内にはカフェスペースも併設されていますので、若冲と売茶翁に想像を巡らせながらゆっくりお茶を飲むのもいいかもしれません。

以上で、世界中に名を轟かせた若冲。その若冲と仙台、さらに仙台の茶菓子屋売茶翁の関係性の謎が解けました。

若冲の虜となった今、仙台に住んでいて若冲と関わりがあったことに嬉しさを感じます。



-完-

参考文献と資料
別冊宝島社「若冲」
Wikipedia売茶翁
SHIKOUSAKUGO
伏見通信:https://fushimimomoyama.jimdo.com/%E5%A3%B2%E8%8C%B6%E7%BF%81/
萬寿寺(万寿寺)
売茶翁:宮城県仙台市青葉区春日町3-13、電話なし